安心をプラスする食卓へ:今日から始める無添加食品の選び方
食卓に並ぶ食品を選ぶ際、「無添加」という言葉を目にする機会が増えました。健康意識が高まる中で、体に優しい食品を選びたいと考える方は少なくありません。しかし、いざ無添加食品を選ぼうとすると、「何を選べば良いのか分からない」「添加物について詳しくない」「価格が高いのではないか」といった疑問や不安を感じることもあるかもしれません。
このコラムでは、無添加食品を選ぶことの意義から、具体的な食品添加物の知識、そして無理なく日々の食卓に取り入れるための実践的なヒントまでを丁寧に解説いたします。難しく考えずに、今日から一歩ずつ、ご自身のペースで安心できる食卓作りを始めてみませんか。
無添加食品とは何か:基本の理解を深める
「無添加」という言葉には、明確な定義がないため、メーカーによってその意味合いが異なることがあります。しかし一般的には、食品添加物を使用していない、あるいは特定の食品添加物を使用していない食品を指すことが多いです。
食品添加物とは何か
食品添加物は、食品の製造過程や加工、保存の目的で使われるもので、主に以下の役割を持っています。
- 保存性を高める: 食中毒の原因となる菌の増殖を抑え、食品の品質を保ちます(例: 保存料)。
- 風味や色を良くする: 食品の見た目や味、香りを整えます(例: 着色料、香料、甘味料)。
- 品質を改良する: 食感を良くしたり、製造効率を高めたりします(例: 乳化剤、膨張剤)。
これらは国の基準に基づき安全性が確認され、使用が許可されていますが、中には体への影響を懸念する声があるものも存在します。無添加食品を選ぶことは、このような食品添加物の摂取を減らし、より自然に近い形で食品を摂取しようとする選択と言えるでしょう。
なぜ無添加食品を選ぶのか:地球と体に優しい選択
無添加食品を選ぶことは、単に食品添加物を避けるだけではありません。私たちの体、そして地球環境にも良い影響をもたらす可能性があります。
- 体への負担を減らす: 食品添加物の中には、過剰な摂取によりアレルギー反応を引き起こしたり、消化器系に負担をかけたりする可能性が指摘されているものもあります。無添加食品を選ぶことで、そうした体への負担を軽減し、食材本来の栄養をより効率的に摂取することを目指します。
- 食材本来の味を楽しむ: 添加物が少ない食品は、素材そのものの味や香りが引き立ちます。例えば、シンプルな調味料で作られたドレッシングは、野菜本来の甘みや苦みをより感じさせてくれるでしょう。
- 環境への配慮: 添加物の製造や使用には、少なからず環境負荷がかかる場合があります。また、加工度の低い無添加食品を選ぶことは、過剰な包装や輸送の削減にもつながり、間接的に地球環境への配慮にも貢献します。
今日からできる無添加食品の選び方:無理なく始めるヒント
無添加食品への移行は、完璧を目指す必要はありません。日々の生活に無理なく取り入れられることから始めてみましょう。
1. 「食品表示」をチェックする習慣を身につける
買い物の際、食品の裏側にある「原材料名」の欄をぜひ確認してみてください。
- 原材料名の後ろに注目: 一般的に、食品添加物は原材料名の後に、スラッシュ(/)で区切られて記載されていることが多いです。
- 知っておくと役立つ添加物の種類:
- 保存料: ソルビン酸K、安息香酸Naなど
- 着色料: 赤色〇号、カラメル色素など
- 甘味料: アスパルテーム、スクラロースなど
- 香料: 一般的に「香料」とだけ表示されることが多いですが、特定の香りを加える目的で使用されます。
- ポイント: 全ての添加物を覚える必要はありません。「聞いたことのないカタカナが多い」「種類がたくさん記載されている」といった場合は、添加物が多い食品である可能性が高いと判断する一つの目安になります。
2. まずは「調味料」から見直す
普段使う調味料は、毎日少量ずつ摂取するものだからこそ、無添加を選ぶメリットが大きいと言えます。
- 醤油・味噌: 「本醸造」と表示されたものを選び、原材料名が「大豆、小麦、食塩」などシンプルなものを選びましょう。だし入りの味噌なども便利ですが、添加物が含まれていないか確認すると安心です。
- 酢: 「醸造酢」や「米酢」「リンゴ酢」など、原材料がシンプルで、醸造アルコール以外の添加物がないものを選びます。
- 砂糖・塩: 精製度の低い、ミネラル分を含んだもの(きび砂糖、てんさい糖、天然塩など)を選ぶと良いでしょう。
- だし: 顆粒だしは便利ですが、化学調味料や食塩が多く含まれていることもあります。昆布やかつお節でだしを取るのが理想ですが、時間がない場合は、無添加のだしパックや、食塩・化学調味料無添加の顆粒だしを選ぶと良いでしょう。
3. 加工度の低い食品を選ぶ
加工が進むほど、多くの添加物が使用される傾向にあります。
- 生鮮食品を増やす: 野菜、果物、肉、魚などは、加工度が低いため、添加物の心配が少ないです。旬の食材を取り入れることで、より栄養価が高く、美味しく、価格も抑えられることが多いです。
- 加工食品は控えめに: ソーセージ、ハム、練り物、レトルト食品、菓子パンなどは、保存料や着色料、結着剤などが使われていることが多いため、週に数回に限定するなど、食べる頻度を調整してみましょう。
- シンプル原材料の加工食品を選ぶ: パンなら原材料が「小麦粉、酵母、塩」といったシンプルなもの、豆腐なら「大豆、凝固剤」といったものを選びます。
4. 身近なスーパーから始める
無添加食品は、専門の自然食品店でしか手に入らないと思われがちですが、最近では一般のスーパーマーケットでも多くの無添加商品が手軽に入手できるようになっています。
- PB(プライベートブランド)商品: 大手スーパーのPB商品には、無添加やシンプルな原材料を謳った商品が増えています。
- 「〇〇不使用」の表示: 「保存料不使用」「化学調味料無添加」といった表示を目印に探してみましょう。
- 特売日を活用: 無添加商品は高価なイメージがあるかもしれませんが、特売日や業務用サイズを活用することで、コストを抑えることも可能です。
継続のためのヒント:完璧を目指さない
無添加食品への切り替えは、マラソンと同じで、一気に走り切ろうとすると息切れしてしまいます。
- 小さな一歩から始める: まずは醤油や味噌などの調味料、または毎日食べる主食(パンや米)から見直すなど、ご自身にとって取り組みやすいものから始めてみてください。
- 「〇〇から変える」目標設定: 「今月はパンを無添加のものにする」「来月はレトルト食品の回数を減らす」のように、具体的な目標を立てると継続しやすくなります。
- 自炊の機会を増やす: 自炊は、使う食材や調味料を自分で選べるため、無添加生活の強い味方です。週末にまとめて作り置きをするなど、工夫次第で手軽に実践できます。
- 時々は「お休み」もOK: 外食やいただきものなど、完璧に無添加を貫くのは難しい場面もあります。ストレスを溜めずに、時には息抜きも大切です。
まとめ:自分らしい食卓を育むために
無添加食品を選ぶことは、地球と体に優しい選択であり、私たち自身の健康を守る一歩につながります。何から始めれば良いか迷うかもしれませんが、まずは普段使っている調味料や、よく食べる加工食品の表示をチェックすることから始めてみませんか。
「完璧でなければならない」と気負う必要はありません。できる範囲で、無理なく、楽しみながら、日々の食卓を少しずつ安心できるものに変えていくことが大切です。このコラムが、あなたの食卓を見直すきっかけとなり、未来につながる豊かな食生活を送るための一助となれば幸いです。